カンナビス入りの食品、いわゆるエディブルを自分で手作りすると聞くとなんとなくおしゃれな印象がありますが、実際にはどのように作るのでしょうか。実は、作り方自体は非常にシンプルで、しかも分量を自由に調節できるというメリットもあります。ただ、それ故に正しい知識を身につけた上で作らなければ、健康を害する危険性もないとは言い切れません。
例えば、向精神作用をもつカンナビノイドであるTHCはどのくらい含まれているのか、カンナビスブラウニーを食べ過ぎてしまったらどのような副作用が考えられるのか、といった事を知らずに好きなだけ食べてしまうのはやはり危険です。
自家製のエディブルを作ったり食べたりする上でよく見落とされがちなのが、適切なカンナビスの含有量と、摂取量です。では、どのくらいの量が過剰とされるのでしょうか?また、カンナビスブラウニーやカンナビスチョコレートを余計に食べてしまうと、体にどんな影響をもたらすのでしょうか?
実のところ、これらの疑問には個人の体質で異なる、と答える事しかできません。
そのため、エディブルを摂取する際には自分自身への効果を慎重に観察し、自己責任で摂取する事をお勧めします
また、エディブルの摂取によって起こる可能性のある副作用については、別の記事で詳しく説明しています。本項では、人気のカンナビスエディブルと、そのレシピを紹介していきたいと思います。
本題に入る前に、まずはエディブルを作る上での基本的なガイドラインをご紹介いたします。
健康な習慣:エディブルの摂取
- 合法性:カンナビスの入手は、住んでいる州や国によっては禁止されている場合があります。自分の国での合法性を確認することは、エディブルを作る前に必ず行うようにしてください。
- カンナビスの品種を選ぶ:これは多少複雑なプロセスになります。高品質のカンナビスを販売しているショップが見つかったとしても、複数のカンナビス品種の中から自分に最適なものを選ぶ必要があります。こういった場所で悩まないためにも、自分がどう言った理由でどんな効果を期待してエディブルを作ろうと思っているのかを予め明確にしそしてどのカンナビノイドやテルペンがその目的に合うのかを下調べしておきましょうこれらがはっきりしていれば、カンナビスの品種選びで迷うことはないでしょう。カンナビス選びの専門家、バドテンダーという職業があるくらい、カンナビスという植物は多様で奥が深いものなのです。
- カンナビス使用の経験が豊富なユーザーの多くは、カンナビスの薬効を損なわずにカンナビノイドを抽出する方法を知っています。この方法を体得するには練習と経験が必要なので、熱心なユーザーは材料の割合や工程を工夫したりして、自己責任のもと、自分にあったエディブルを探求しています。
- カンナビスの含有量は極めて重要な鍵です。
間違いないエディブルレシピ3つ
現在最も人気のエディブルはカンナバター、ブラウニー、カンナビスチョコレートです。これからこの3つのレシピをご紹介しますので、ぜひご自分で作ってみて、感想を教えてくださいね。
カンナバター
カンナバターは、カンナビスとバターを混ぜ合わせたバターです。カンナビスは、脂肪分の多い物質と混ぜ合わせる事で体内への吸収率が高まるので、オイルやバターとの相性が非常に良いとされています。多用途で使用できる上に作り方もシンプルなため、初心者には最適なレシピですカンナバターはそのまま使用するだけでなく、他の料理の材料としても使用できます。
レシピ:カンナバターの作り方
カンナバターは、湯煎と直火、どちらの加熱方法でも作ることができますが、
以下の4つのステップが必須になります
1.脱炭酸する2. バターとカンナビスを湯煎もしくは直火で加熱する3. カンナバターを抽出する4. 冷蔵庫に入れ、分離したバターを取り出す
材料:
バター 225g
水 235cc
カンナビス 5〜10g(必要な効果に合わせて入れてください)
必要な調理器具:
オーブン
ベーキングトレイとクッキングシート
チーズクロスとこし器
ガラス製のボウルとフタ
バター加熱用の鍋
1.脱炭酸する
まず初めに、カンナビスからカンナビノイド(THC)の効果を最大限に引き出すための脱炭素という処理を施します。このプロセスによって、天然に存在するカンナビス化合物が、機能的に活性な分子形態であるTHCに分解されます。なぜなら、THCはカンナビスの中ではTHCAと呼ばれる酸の構造を取って存在しており、これを燃焼させることで酸が取り除かれ、THCに変化するのです。
レシピによっては、このプロセスを省略してカンナビスを直接バターに混ぜ、1〜2時間休ませる場合もありますが、出来るだけ脱炭酸の工程は省かないことをお勧めします。
オーブンを115℃に予熱して、カンナビスを脱炭酸していきます。ベーキングトレイにクッキングシートを広げ、カンナビスを丁寧に置いてください。あとは、トレイをオーブンに入れて40~45分加熱します。カンナビスは焦げやすいため、加熱中は常に中を確認できるように、出来るだけキッチンを離れないようにしてください。カンナビス調理には、忍耐が必要です。時々オーブンの中を見て、焦げていないか確認しましょう。加熱開始から10分〜15分経過したら、一度開けてトレイを揺すります。こうすることで熱が均等に行き渡ります。再度加熱します。次第に色が変化してきたら、脱炭酸が進んでいる証拠です。加熱が終了したら、活性化したTHCの完成です。しばらく放置して粗熱を取りましょう。
2. カンナビスとバターを加熱する
浅目の鍋に235ccの水を入れ、沸騰させます。水を火にかけている間に、カンナビスを指で潰して粗い粉状にしておきます。沸騰したお湯にバター225gを入れて、バターが溶けるまで加熱します。次に、脱炭酸したカンナビスを沸騰したバター液の中に入れます。よく混ぜて、2~3時間煮込みます。時々、かき混ぜて鍋底が焦げ付かないように気をつけてください。2〜3時間経過したら火を止め、室温と同じくらいまで冷まします。バター液が冷めると、分離した乳固形物の白い層が現れます。もしこの部分が好きでない場合は、取り除いても問題ありませんバターに澄ましバターを使えば、この工程を省くことができます。
3.カンナバターを抽出する
密閉式の蓋があるガラス製ボウルを用意します。こし器にチーズクロスを敷き、2で作ったカンナバター液をボウルに注いでください。バターをこすために、布を軽く絞っても構いませんが、優しく絞るようにしてください。
4. 冷蔵庫に入れ、分離したバターを取り出す
ボウルに蓋をして冷蔵庫に入れます。1~2時間後に冷蔵庫から取り出し、室温で5分間休ませます。水分とバター部分が分離し、水分が底に溜まってカンナバターが上に固まっているのがわかります。バターナイフなどを使ってカンナバターのみを取り出しましょう。
この自家製のカンナバターは、トーストに塗ったり、パスタやサラダ、また、スープ、カレー、トルティーヤなど様々な料理に使用することができます。さらに、ニンニクやコショウ、シナモンなどのスパイスを練り込めば、自分だけのオリジナルのバターを作ることができます。
カンナビスブラウニー
上で紹介したカンナバターがあれば、簡単にカンナビスブラウニーを作ることができます。オーブンを140℃で予熱しておきます。大さじ4~6のカンナバターを溶かし、ブラウニーミックス1パックと卵2個を加えてよく混ぜます。生地にダマがなくなり、滑らかになってきたらケーキ型もしくはパウンド型に流し入れます。オーブンで15~20分焼いたら、自家製のカンナビスブラウニーの完成です。
自家製のカンナビスブラウニーの完成です。
1~2gのカンナビスとお気に入りのチョコレートバーがあれば、誰でも簡単にカンナビスチョコレートを作ることができます。カンナビスを粗い粒になるまですりつぶし、100℃で20~30分ほど加熱して脱炭酸します。量が少ないので、焦げ付かないように気をつけてください。焦げ付きを防ぐために、粉末にしたカンナビスを小包のように側面を作ったアルミホイルに入れて加熱するという方法もあります。
その間に、板チョコレート1枚を細かく刻み、湯煎で塊がなくなるまで溶かしておきます。かき混ぜると効率的に溶かすことができます。チョコレートがすべて溶けてクリーム状になったら、脱炭酸したカンナビスを加えてよく混ぜます。最後に、製氷皿にスプーンで溶かしたカンナビス入りのチョコレート液を均等に入れ、冷蔵庫で60~90分ほど冷やします。製氷皿から取り出したら完成です。カンナビス風味のチョコレートを存分にお楽しみください。
まとめ
カンナビスを取り入れた料理は他にも沢山あり、様々なレシピを試す楽しさも、エディブルを自分で作る魅力ですただ、摂取しすぎると向精神作用が過剰に働いて気分を悪くする可能性もあるため、摂取量には十分気をつけましょう。カンナビスを食品に取り入れて摂取するのは、カンナビスの薬効をより効果的に得たり、自分のライフスタイルに合わせるためだということを忘れてはいけません。乱用を避けながらカンナビスを安全に使用することで、この素晴らしい治療効果を持った植物の恩恵を受けることができるのです。