はじめに
妊娠中にCBDを摂取することについては、純粋に医学的な見地からはまだ推奨されていません。しかし、最近では妊婦さんの間でCBDが大きな話題となっています。
多くの妊婦さんは、妊娠という人生で最も困難な40週間を乗り切る助けとなる代替的なアプローチがあればと願っているはずです。
特に妊娠6週目から18週目の期間は、体内の化学物質の乱れによるいくつかの症状に悩まされることが多くなります。この時期の辛い症状を改善するために、CBDを検討する人が近年増えてきています。
本稿は、そういった方が直面するであろう疑問の答えとなるような内容を心がけています。
- 妊婦さんがCBDを摂取する理由
- 妊娠中のCBDオイル摂取:使用しても安全?/ どんなリスクがある?
- CBDオイルはつわりに効く?
- CBDとうつ病に関する研究
妊婦さんがCBDを摂取する理由
まず押さえておくべき点は、妊娠体験は人によって異なるという事です。そのため、出産経験のあるママさん達からいくらアドバイスをもらっても、全て自分にも起こる事として参考にする事ができません。
例えば、一部の女性は最初の3ヶ月はスムーズであるかもしれませんが、他の女性にとっては苦痛の3ヶ月となる可能性があるのです。
次に、妊娠前にCBDやカンナビス製品を使用していた女性は、妊娠後も使用を継続する事を検討するでしょう。もしこれまでCBDを使用したことがなければ、妊娠と同時に摂取をする事は避けた方がいいかもしれません。
CBD摂取を検討する女性の中には、以下のような症状への治療効果を期待して、CBDを日常的に摂取したいという意思を助産師や地元の専門家に伝えてアドバイスをもらう方もいます。
制吐性:妊娠初期は特に、吐き気に悩まされる事がありますが、CBDには制吐剤としての効果もあるため、過度の吐き気やつわりを抑える事ができます。
抗精神病性と向痙攣作用:妊娠すると、ホルモンの変化、糖分のバランスの乱れ、消化の問題、血圧の変動などにより、睡眠不足になったり日中に眠気が襲ってくるという症状が現れる事があります。こうした不眠症の症状が、母体と胎児の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
CBDの抗精神病薬と抗けいれん薬としての特性は、睡眠の質を高める事が期待できます。前者は感情や潜在的ストレスを軽減し、後者は筋肉の緊張を和らげる働きがあります。
鎮痛作用:妊娠期間中に起こる最も一般的な症状としては、痛み、けいれん、疼痛などが挙げられますが、CBDには高い鎮痛作用があるため、妊娠中の痛みを広く持続的に和らげてくれるでしょう。
- 妊娠初期は特に、吐き気に悩まされる事がありますが、CBDには制吐剤としての効果もあるため、過度の吐き気やつわりを抑える事ができます。
- 妊娠すると、ホルモンの変化、糖分のバランスの乱れ、消化の問題、血圧の変動などにより、睡眠不足になったり日中に眠気が襲ってくるという症状が現れる事があります。こうした不眠症の症状が、母体と胎児の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
- CBDの抗精神病薬と抗けいれん薬としての特性は、睡眠の質を高める事が期待できます。前者は感情や潜在的ストレスを軽減し、後者は筋肉の緊張を和らげる働きがあります。
- 妊娠期間中に起こる最も一般的な症状としては、痛み、けいれん、疼痛などが挙げられますが、CBDには高い鎮痛作用があるため、妊娠中の痛みを広く持続的に和らげてくれるでしょう。
- 最終的には、上記のような身体的な不快感は、不安や抑うつに陥りやすい人には大きな負荷となっていきます。この点については、2015年に行われた研究が参考になります。
とある調査では、350人の妊婦を妊娠期間別に分類し、抑うつ症状や不安症状の悪化の有無を調べました。
その結果、15.8%の妊婦が強い不安感を示し、25%の妊婦が深刻な抑うつ症状を示しました。
CBDは、このような状況に陥らないようにするための手段として、またオピオイドを使わない自然療法として妊婦さんから注目を集めています。
妊娠中のCBDオイル摂取:使用しても大丈夫?
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、CBD、THC、マリファナをいかなる形であれ、妊娠中や授乳中に使用しない事を強く推奨しています。
カンナビス製品に対して懐疑的な医療専門家の多くは、妊婦にカンナビスを主原料とした製品を推奨していません。しかし、吐き気、痛み、不眠などを少しでも和らげたいと考えている人から、CBDのような非精神活性カンナビノイドを使用することについての問い合わせが殺到しているという現状があることもまた事実です。
CBDは現在、どこでも手に入れる事ができるほど普及をしています。もちろんマーケティングの効果による側面も否めませんが、それ以上に、CBDが従来の処方薬に取って代わる非常に優れた有効成分である事が、ここまで大きく市場が広がった理由でしょう。
そうは言っても、CBDは本当に妊娠中に使用しても安全なのでしょうか?
この問いに対して、二つの切り口で答えを探っていきましょう。まず、カンナビスには数百種類のカンナビノイドが含まれている事は、既によく知られています。その中でも特に人気があるのが、THCとCBDです。THCは向精神作用があり、CBDにはありません。
- THCを含む製品は、妊娠中の女性の身体に悪影響がある。
2017年に行われた研究では、THCは胎盤を通過して、胎児の脳に影響を与える危険性があると報告されています。1
- CBDのような非向精神作用のあるカンナビノイドを出生直前妊婦が使用する事に関して、研究が不足している。
妊娠中のCBDの適用性については、まだ明らかになっていない点が多くあるため、更なる研究が求められています。
もちろん、CBDの鎮痛作用を報告した研究資料はこれまでに多く発表されていますが、妊娠中や授乳中の母親への適合性についての資料は限られており、さらなる調査が必要です。
さらに、アメリカのいくつかの州では医療用カンナビスを合法化する動きが活発化しており、それによりカンナビノイドへの需要も高まってきました。
CBD市場が拡大するにつれ、規制強化に向けて進んでいる地域もあるため、推奨することに積極的でない医療専門家も少なくありません。CBD市場が拡大するにつれ、規制強化に向けて進んでいる地域もあるため、推奨することに積極的でない医療専門家も少なくありません。
妊娠中にCBDオイルを使用するリスク
妊娠中のCBD使用によるリスクを調べた研究は、多くありません。CBDは、CBDオイル、CBDカプセル、CBDサプリメント、CBD外用薬など、様々な形態で販売されているため、必要に応じた使用方法を選んだり、自分のライフスタイルに合ったタイプを選ぶ事ができます。
- 一般的に、肝臓に不快感を覚える場合があると言われています。つわりは肝臓に大きな負担をかける症状ですが、カンナビノイドはさらに肝臓にダメージを与える危険性があります。
- 他の処方薬やサプリメントとの有害な相互作用の可能性があります。妊娠中の女性は、ビタミンや鉄分のサプリメントを処方される事が多く、これらの成分との飲み合わせは事前に確認するようにしてください。
- 2019年の研究では、カンナビノイドの胎内曝露が発達に影響を及ぼす可能性を指摘されていますが、CBDについては明確な証拠となる研究結果が報告されていません。2
- タバコやアルコールとCBDの相互作用に十分気をつけてください
妊娠中のカンナビス使用について調べた研究
妊娠中の女性がカンナビスを使用することに関する研究結果は、個々で方法論が異なるため、エビデンスとしては信頼性に欠けています。そのため、現段階で統合的な結論を出すことは難しいでしょう。
参考として、以下のようにいくつかの研究の抜粋を簡単に紹介します。
- 2016年の研究と2017年の研究では、有害と判断された結果は、アルコールやタバコの使用、その他の交絡因子に起因している可能性がある事が指摘されている。3
- 2018年の研究では、妊娠中にカンナビスを使用した女性が貧血を発症する確率が高かった事を報告している。また、子宮内でカンナビスの成分にさらされた胎児は、出産後に新生児集中治療室へ入る必要があるほど体重が低かった。4
- 2019年の動物モデルを使った研究では、発育を通して体の成長が低下し、複合的にカンナビスにさらされた事がこれらの影響を悪化させたと報告しています5
CBDオイルとつわり
つわりは、妊娠中の母親にとって身体的にも精神的にもつらい症状ですが、近年では処方薬の後遺症を避けるために、服用を選択しない母親が増えています。CBDオイルは、いくつかの予備研究や事例証拠において、妊娠中の母親が経験する強い吐き気を抑制する効果を持っていると結論づけられています。
つわりの原因を理解し、適切な対処法を見つけることがこの症状を回避するためには欠かせません。
- エストロゲンとプロゲステロンは、妊娠すると徐々に増加し、32週目ごろにピークを迎えます。この時、ホルモンの分泌量は通常の6倍にも達します。
- 肝臓にも大きな負担がかかるため、食べ物を消化吸収する事が困難になり、その結果吐き気やつわりを引き起こします。すると今度は嘔吐によって食生活が乱れ、糖分のバランスが乱れてしまいます。糖分バランスが乱れると、頭痛、イライラ、脱力感などの症状も現れてきます。
CBDがエンドカンナビノイドシステム(ECS)と相互作用して、その機能を増強させる事は有名ですが、この機構の要であるエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)が、女性の生殖プロセスを調節する重要な働きがある事はあまり知られていません。ある研究報告では、エンドカンナビノイドシステムは痛みや神経発達の調節だけでなく、女性の生殖システムにも影響を与え、さらには卵胞形成、卵子の成熟、卵巣内分泌に影響を与えると結論づけています。また、エンドカンナビノイドシステムは卵管内の胚輸送、着床、子宮内膜、胎盤にも影響を与えます。6
すぐにでも始められるつわりへの対処法としては、妊娠中のビタミン、ビタミンB6、ジンジャーエールの摂取、カフェインの削減、1日を通して少量の食事をとる練習、十分な水分補給、また生活習慣の改善などが挙げられます。
あなたはどの意見を参考にしますか?これから妊娠を経験する女性に向けて、あなたの妊娠体験やアドバイスをぜひ下のコメント欄で教えてください。
論点:妊娠中にCBDを安全に使用する方法は?
CBDの摂取が欠かせない習慣となっている女性は、少なくありません。そうした女性がCBDを継続的に使用する上で押さえておきたいポイントを、以下にまとめました。
- 長所と短所を正しく理解し、自分の妊娠期間と照らし合わせながら、CBDに対して自分の体がどういった反応を示すのかを調べましょう。
- 今までCBDを摂取した経験がない場合は、妊娠中に使用を開始する事は控えましょう。
- CBD経験者の場合は、出来るだけ高品質のCBD製品を選ぶようにしてください。
- CBDを選ぶ際には、医療機関の専門家に相談してCBDアイソレートとの相性や望ましい摂取経路や用量についてもアドバイスをもらいましょう。
- 低用量から始めて、マイクロドースでの摂取を継続してください
- 摂取量、使用前と使用後の体の反応の変化、改善された点、副作用などを出来るだけ記録するようにしてください。予想に反する反応が起こった場合は、必ずすぐに医療機関を受診するようにしてください。
まとめ
- 妊娠中にCBD製品やその他のサプリメントの継続的な使用を検討している場合、摂取を始める前に必ず医療機関の専門家に相談しましょう。自己判断で摂取を始める事は控えてください。
- CBDの妊婦と胎児への影響を調べた研究のほとんどは動物モデルを対象としたもので、どの結果も用量依存性が確認されました。人間の妊娠に関する研究では、同時に使用している薬剤、人口動態、社会経済的な要因を考慮に入れる必要があります。
- 近年、処方薬に代わる治療法を求める女性が増えている事から、妊娠中にCBDを使用した母親に関する予備研究が盛んに行われるようになり、より多くの事例証拠が散見されるようになりました。
- タンパク質が豊富な少量の食事を取る事や、エッセンシャルオイルをリビングルームのディフューザーに使用したりパルスポイント(脈拍がとれる箇所)に擦り込む事、そしてCBDを使う習慣をこれらに組み合わせることで、悩ましい吐き気やその他の不快感を取り除く事が可能になるでしょう。
- 最後になりますが、この新しい体験には、パートナーの方が身体的・精神的な変化について同様に認識するなどしてサポートをしてもらう事がとても重要です。
是非、ご意見をコメント欄でお聞かせください。あなたの体験は、これから妊娠を経験する女性にとって大きな助けとなるでしょう。
参考文献
- National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine; Health and Medicine Division; Board on Population Health and Public Health Practice; Committee on the Health Effects of Marijuana: An Evidence Review and Research Agenda. The Health Effects of Cannabis and Cannabinoids: The Current State of Evidence and Recommendations for Research. Washington (DC): National Academies Press (US); 2017 Jan 12. 10, Prenatal, Perinatal, and Neonatal Exposure to Cannabis [↩]
- Fish, E.W., Murdaugh, L.B., Zhang, C. et al. Cannabinoids Exacerbate Alcohol Teratogenesis by a CB1-Hedgehog Interaction. Sci Rep 9, 16057 (2019). https://doi.org/10.1038/s41598-019-52336-w [↩]
- Conner, Shayna N. MD, MSCI; Bedell, Victoria MD; Lipsey, Kim MLIS; Macones, George A. MD, MSCE; Cahill, Alison G. MD, MSCI; Tuuli, Methodius G. MD, MPH Maternal Marijuana Use and Adverse Neonatal Outcomes, Obstetrics & Gynecology: October 2016 – Volume 128 – Issue 4 – p 713-723 doi: 10.1097/AOG.0000000000001649 [↩]
- Hanan El Marroun, Qiana L. Brown, Ingunn Olea Lund, Victoria H. Coleman-Cowger, Amy M. Loree, Devika Chawla, Yukiko Washio, An epidemiological, developmental and clinical overview of cannabis use during pregnancy,Preventive Medicine,Volume 116, 2018,Pages 1-5, ISSN 0091-7435,https://doi.org/10.1016/j.ypmed.2018.08.036. [↩]
- Breit KR, Zamudio B, Thomas JD. Altered motor development following late gestational alcohol and cannabinoid exposure in rats. Neurotoxicol Teratol. 2019;73:31-41. doi:10.1016/j.ntt.2019.03.005 [↩]
- Walker, O.S., Holloway, A.C. & Raha, S. The role of the endocannabinoid system in female reproductive tissues. J Ovarian Res 12, 3 (2019). https://doi.org/10.1186/s13048-018-0478-9 [↩]